1986年に出版された『南仏プロヴァンスの12ヶ月』は、瞬く間にベストセラーを記録しました。この本の著者、英国人のピーター・メイルがプロヴァンス暮らしを始めるために購入したのは、200年以上も前に建てられた古民家でした。強い太陽の光に映える赤い屋根瓦と手塗りのスタッコ壁、無垢の木材で丁重に仕上げられた窓やヴォレー、また、門扉やリビングドアには職人技が冴えたロートアイアンがあしらわれていました。歴史を物語るそれらのマテリアルが与えてくれる限りない癒しの時間。彼はプロヴァンスの自然や食生活や人心風土とともにこの古民家をこよなく愛したのです。多くの人々がこの本に共感をしたためでしょうか、90年代には世界中でプロヴァンスブームが捲き起こりました。

今日、建物に用いられる材料は大きく変化し、建具などにもアルミや樹脂で作られたものが多くなりました。昔から使われていた木材は歪みや劣化が敬遠されたのです。建築材料や建築技術の進化は大変結構なことですが、その陰で、人の生活に寄り添ってきた伝統的な材料が失われていくのは惜しいことです。

当然ですが、テクノロジーの騎手ともいえる新素材でガッチリ固められた建物は機能的で丈夫です。が、その反面、マテリアルの冷たい雰囲気が馴染めない、デザインに隙がなさすぎて落ち着けないといった声を耳にします。高機能や堅牢さに加えてプラスアルファのリラクゼーションが求められている現代こそ、温もりのある天然建材を見直すときではないでしょうか。

さて、近年わが国でもプロヴァンススタイルは確実に定着して、新たに造られる住宅やショールーム、ショップやレストラン、公共の施設など、随所にプロヴァンスデザインが取り入れられています。このような追い風を受けながら、小社は永年プロヴァンスで積み重ねてきたネットワークと営業実績に基づき、実際に住宅や公共の建物などで使われていた古建具や建材を多数輸入して、クリエイティヴな建築空間を創造されるデザイナーの方々や施工会社様に向けてご提案、また、ご提供をさせていただいております。

小社が手がける扉、窓、ヴォレー、コントロヴォレーなどの主な商品は全て丈夫な無垢の木材で作られていますので、長い年月を経た現在でもまだまだ使用に耐えられるものばかりです。経年による塗装の剥がれや退色、また、ある程度の傷や擦れなどが見受けられますが、古建具にはこれらが必要かつ不可欠な要素で、私達はそれらを欠点ではなく、むしろ味わい深い歴史的風合いと考えて大事にしています。人と自然が永い時間をかけて育んできた古建具の、言うなれば「新素材にはない本物のテイスト」を楽しんで下さい。このことが、私達bon-côtéが皆様と共有したいテーマなのです。

現在bon-côtéには、それぞれオリジナリティに富んだ、窓246枚、扉30枚、ガラス扉170枚、ヴォレー92枚、ルーバーヴォレー134枚の在庫がございますが、今後ストックはますます増える方向で、常時1000枚をキープしたいと考えています。ぜひ、プロヴァンスの古建具を現代の建築デザインに取り入れてみてください。きっと温もりのある新しい空間を創り出す喜びが広がっていくことでしょう。